個展会場や工房を訪ねていらっしゃるお客様によく聞かれる「これは何焼きですか?」。
日本のやきものといえば、備前焼、信楽焼、萩焼、など○○焼という伝統的なやきものが思い浮かびますね。まだ物流が今ほどスムーズでなかった時代には、産地特有の材料やこだわりを形にした○○焼が産業として根付いていました。
しかし現在は少し違ってきています。例えば私のように、九谷焼の土地に生まれながら信楽や瀬戸の土を使う…このように、○○焼の産地で作っているわけでもないし、産地の土を使っているわけでもないし…という個人の作家は少なくないと思います。
[↑彩黑器 信楽のブレンド土に象嵌を施し、久谷焼の上絵付けで彩色した高森絢子独自の器です。]
材料も技術も自由に移動できる現代にあって、私のように個人で活動する作家には「○○焼」という名前はありません。
○○焼であってもなくても、その人がどんな仕事をしているかを見ていただけたら嬉しいなぁと思いながら「○○焼」についていつもお話ししている私です。
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