モノづくりはヒトづくり

1年のうちで最も忙しいといっても過言じゃない4.5月。今年も、二人展の会期中から始まった、新しい窯の設置、新工芸展の審査業務、オープニング、6月の個展に向けての制作とあっという間でばたばたの一か月。

そして、とかく目が回るほど忙しい時に、衝動的なフットワークの良さを発揮する(無鉄砲で考えなしともいう^^;)私。おしりに火がついて全く余裕がない個展までの日数の、どこにそんな余裕があったのか…片道4時間半の日帰りで寺池静人先生の個展を見に新潟へ行ってきました 笑

偶然にも少し前、お客様の家に納品に伺った際、若き日の寺池先生の作品を目にして、多分今の自分と同じ年頃の先生が作っただろう作品のエネルギッシュさと、細部に考えられた緊張感ある線や成形にガツンと頭を殴られたような気持になりました。試行錯誤しながらも受け身になりがちな自分の作品が恥ずかしくもあり、まだまだできる!という叱咤激励を受けたかのようにも感じました。そしてこのタイミングでの先生の展覧会。これは行かなければ絶対後悔する!…と、こういう経緯です 笑

新潟駅から数分、小さいけど蒼々たるコレクションをほこる鶴井美術館。1F展示場には第一回日展(私が生まれた年)出品作品から近年の作品まで総数43点が一堂に展示。食い入るように一周しました。

作品から出てくる気品とか色気とか…生きた線とか。すべてが良かったなぁ…

先生は日ごろから、師楠部彌弌先生が「人間を作れ」とおっしゃった話を私たちに話してくださります。たたき上げの職人、私の父が日ごろから言う言葉も「自分を磨け」「真面目に誠実に一生懸命」。新工芸に入ったとき先生の言葉がしっくりきたのもそのせいなのかもしれない。

師がいない私が、こうやって25年余り陶芸を続けているのも、新工芸をはじめいろいろな場で出会った先生や仲間の刺激があってこそ。作品から何かを感じさせられる作家になるにはまだまだ自分を磨かなくては。

そう思う気持ちとは裏腹に、家に帰った後に待ち受ける制作地獄の想像をかき消そうと、ほろ酔いでバスに揺られていました 笑